NPO法人「スキーヤー及びスノーボーダーの安全を考える会」あゆみ

会を解散するにあたって



1、前史

 本会の代表理事の長男が長野県下のスキー場において、スノーボードで友人と滑走中、場内の立木に衝突し、平成12年2月に死亡する事故が発生した。
 この事故を契機に、当時多発していたスキーヤーやスノーボーダーの死亡等重傷事故の防止策の必要性を痛感し、この種の事故の発生と防止対策を研究し広く公に呼び掛けることを発意し、知人友人に呼び掛けて本会を設立することに至った。
 呼びかけに応じた16名で、平成12年4月29日に任意団体「スキーヤー及びスノーボーダーの安全を考える会」通称3エス会を設立し発足した。


2、NPO法人への改組・移行へ

 任意団体として研究及び広報活動を行い二年余り経過し、当時のNPO法人の設立が一般化する中で,更に本会の周知のためには法人化すべきだとする声が会員の間に起こり、検討した結果,NPO法人の認可申請を行うことが総会で決定。
 その後、認可基準に基づく規約等を整備、群馬県知事あて認可申請を行い、平成14年7月18日に県知事より法人認可され、同年7月29日前橋地方法務局太田支局に法人設立登記を行った。ここに任意団体から、特定非営利活動法人「スキーヤー及びスノーボーダーの安全を考える会」として移行した。


3、NPO法人への移行から現在までの活動の概要

① 死亡等重傷事故事例の収集
国会図書館において地方新聞紙より収集(毎年、16年間)

② ホームページの開設
死亡等重傷事故情報(毎年、16年間)・事故事例分析等の提供

③ 死亡等重傷事故事例の提供
各都道府県スキー連盟・全国スキー場等約240箇所に郵送(平成29年まで毎年、14年間)

④ 研究機関への費用援助(1回)

⑤ 訴訟費用支援(1回)


4、おわりに

 当会で把握したスキー場における死亡等重傷事故件数は、経済状況の変化や趣味嗜好の変化によりシーズンにより変動があるが、1シーズンに二十数件から三十数件が発生している。
 又、把握した事故を型別でみると、転倒、競技者同士の衝突、立木等の障害物に衝突及び天候の急変等により帰途がわからず行方不明となる等に分類できる。
これらの事故を防止するため、型別にとれる対策は、

*転倒
競技者の技能に応じたコースの選定、二次的ではあるが、ヘルメットの完全着装

*競技者同士の衝突
混雑時のスキーヤーとスノーボーダーとのコースの住み分け

*立木等の障害物に衝突
コース内やコース近辺の障害物の除去、または、緩衝用マットの取り付け

*行方不明
携帯電話等通信機器の携帯、天候急変時の伝達設備の完備

等を検討すべきである。

 なお、2016年頃から、所謂、バックカントリースキーヤーやスノーボーダーによる事故が急激に目立つようになった。当会としても、スキー場のリフトを使用することから、事故を把握することにしてきたが、シーズンによっては把握した事故の3割から4割を占めるまでになっている。コース外の全くの自然環境の中での滑走で、事故発生の危険性が高く、また、救出には高額の費用を要することから自制が求められる。
 一般に、スポーツは危険を伴うと考えられており、スキーやスノーボードも例外ではない。だが、危険であるから事故が発生するのは当然であると考えるべきではない。事故は、人間の過ちにより発生するものであるが、人間は本来過ちを犯すものであるので、その過ちを犯しても事故に繋がらない対策が当然必要であると考える。
 スポーツを楽しむために行くスキー場で事故に遭遇することは、競技者にとっても、また、スキー場にとっても不幸なことで、特にスキー場経営者にとっては、スキー場は危険であるという印象を与えることになり、今後のスキー業界発展の上からも、なお一層の事故防止対策の徹底を、当会の解散に当たり望む。

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